七宝焼とは!

『七宝』という言葉は日本独自の名称で、文字どおり七つの宝のように美しいものという意味で使われるようになったものですが、

その語源は、阿弥陀経や法華経の経典に極楽浄土を表現して「金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、瑪瑙(めのう)、真珠、しゃこ、によって彩られ、七宝荘厳なり」と説かれていることから引用されたといわれています。

それほどに、硝子質の釉薬と金属の織り成す繊細華麗さは、他に例を見ない美しさということであると思います。

知らないという方の中で意外に多い勘違いでは、萩焼、九谷焼(土地の名称)などの陶芸と同一視されていることがありますが、全く別のもので、『七宝焼』という一つのジャンルなのです。

cloisonne(クロワゾネ)という言葉は、フランス語で七宝焼を意味します。又はemail(エマイユ)とも言いますね。英語ではenamel、中国語では琺瑯と呼ばれているようです。

七宝焼の歴史は、とても古く、幾多の経過をたどった過程でも 特別な人だけが用いていた様です。

紀元前千三百六十年頃のものといわれるツタンカーメン王、黄金マスクにも 七宝が溶着されている様であると伝わっています。

歴史としては、とても古いものです。日本に現存する最古の七宝は、 正倉院の黄金瑠璃細背十二稜鏡(おうごんるりでんはいじゅうにりょうきょう) に伝わっています。

現在、七宝の盛んな所と言えば名古屋、次いで京都でしょう。 現代大衆のものとなった七宝は、使う人、見る人、作る人、それぞれの 嗜好や観点で、当然の事ながら七宝の価値観となっている様です。

七宝は、何で作られているのでしょうか・・・ 七宝は、金属の銅、あるいは銀等に釉薬を溶着して作られます。 金属と釉薬は、異なる物質、材質で、化学的、物理的な処理技術の結果に 生じる特質を応用して形成される複合工芸なので、この様な事を考慮に入れて 御覧いただけるとよろしいかと思います。